お知らせ
2017.02.12
■FP 5 小宮山友祐
ー試合の総括をお願いします
「やっぱり、勝ちたかったです。府中の試合結果的に、勝ったところで順位は変わらなかったですが、それでもホーム最終戦、自分の最後のホームゲームでしたので、勝ちたかったです。
僕のことや米川監督のことは関係なしに、一人一人がこの試合にかけている思いがすごくあったと思いますし、みんなも選手でいる以上、ピッチで必要なことは自分のできることを最大限発揮するということをわかっていたはずです。そこに関しては、すみだ戦までのトレーニングを含めて強い意気込みで望んでいたのだと思います。」
ー勝利に至らなかった要因はどういったところにあると感じていますか?
「やっぱり、得点力の部分だと思います。1点では勝ちきるのは難しいことになりますし、チャンスがあった分、最後までそれを決め切れなかったというのが、今シーズンを通しての課題でもありました。2点目、3点目を取りきれるチームというのが、上位にいくのだと思います。フットサルでは、思いがけない形での失点も数多くあるわけですので、もっと点を取れるように突き詰めていかないといけないですね。」
ーその中で決まったゴールが、ご自身のゴールでした。物凄いゴールでした。
「そうですね、僕もそう思います(笑)。あまり、目に見えるもの以外のことを信じるタイプの人間ではないのですが、引退を決めた中でのホーム最終戦という舞台が、ああいったゴールを生んでくれたのかなと思っています。
(野村)啓介からパスをもらった時点でシュートを打とうというのは決めていました。あとはどういったシュートが飛んでいくかだけでしたが、まさかあれほどの弾道であのコースに飛ぶとは思っていませんでした。それまで試合の流れも悪かったので、シュートを打つしかないなと思っていました。本当にいいところにシュートが飛んでくれました。
今日の試合で点を取ってやろう、点を取りたいな、という気持ちは頭の片隅にはありました。自分で言うのも何ですが、すごいシュートを決められたなと思います。」
ー「『小宮山友祐』という選手がこのチームにいたのだ」という試合は見せられましたか?
「それはかなり難しいところですね。ディフェンスとかで、自分らしさというのは出し切ったつもりでいますが、その質問の答えを決めるのは見てくださった方々が決めることだと思います。今日の試合以上のものは、多分出すことができないです。『らしさ』を出せたのかと言われるとちょっとわからないですが、見てくれた方に何かが伝わってくれたのだとしたら嬉しいです。」
ー10年間を振り返ってみて、Fリーグに対する思いというのは何かありますか?
「選手は、自分のプレーにお金を払って見に来てくれる人がいるということを自覚してプレーしないといけないです。一つのエンターテイメントとして、趣味の延長線上でプレーしていてはダメです。その自覚というのは、プレーの強さや気持ちの強さ、テクニックや戦術の高度さといった様々なものがあると思いますが、根本にあるのは自分が観客にとって対価のあるプレーヤーなのかというところです。
そういった思いがなければ、『フットサルなんて、サッカーを続けられなかった人がやるものでしょ』というイメージを拭い去ることはできないです。自分たちの価値を上げることは自分たちにしかできないです。これまでクラブでやってきたこともそうですし、代表でのプレーもそうですが、そういう気持ちを持って戦わないといけない。
これまでの歴史で、レベルは確実に上がってきていますし、素晴らしい指導者も増えてきました。ただ、去年日本はW杯にいくことができなかったわけですからね。その問題をもっと受け止めて、一人一人が危機感を持ってプレーしないと、お客さんは離れていってしまうと思います。選手がプレーしやすい環境を作り出していくのであれば、まずは選手自身がもっと真摯にフットサルと向き合っていかないとならないです。周りの環境や、スポンサー面なども大事なことですが、前提として選手がもっともっと頑張ることができないと、Fリーグ自体が発展していくことは難しいと思います。
更にいってしまえば、フットサルの日本代表選手というのはすごい存在なのだなという認識を持ってもらうためには、代表試合の機会が少ない分だけ、国内のリーグ戦で圧倒的な実力差を見せつけなければならないです。こういったものが、今のフットサル界を取り巻く環境に存在しているのかなと思っています。その環境が少しでもいい方向に向くように、これから引退した後どういった形になるかはまだわかりませんが、普及・発信・育成などなど、その中のどれをするにしても頑張ってやっていきたいなという気持ちでいます。」
ーこれまでのFリーグの試合の中で、忘れられない試合というのはありますか?
「色々ありますが、2008年のW杯直後に、代々木でやった名古屋オーシャンズ戦は物凄く印象に残っています。自分がハットトリックしたというのもありますが、5-4というスコアで勝った時に、代々木の満員の観衆が、誰に言われるでもなく自然とスタンディングオベーションをしてくれた光景というのは、忘れることができないですね。
いい試合、いいプレー、激しいせめぎ合いというのが、見てくださる方にちゃんと伝わるのだなと感じた試合でした。今日のすみだ戦もそうだったと思います。うちとすみだが試合をすれば、どうしても渋い試合になってしまいますが、その中でもフットサルの激しさや魅力がぎっしり詰まった試合になったはずです。そういう試合を見せることが毎試合できれば、きっとフットサルのことをもっと好きになってくれると思います。そのことを、もっと追求していきたいです。」
ー最後のセレモニーはどういった気持ちで過ごされていましたか?
「あのサプライズは、何も知らされてなかったので本当に感動しました。小野大輔のメッセージで泣きましたよ。あれは泣きました。暗くて良かったです(笑)5番のカードをみんなが掲げてくれたことも、本当に嬉しかったですね。本当にありがとうございました。
夢を見ているような選手生活でした。自分のプレーにお金を払ってくれる人がいるようになることもそうですし、自分がサインを書く側になるなんてことは、夢にも想像していませんでした。つい10年前までは、全くそんなことは考えてもいなかったです。Fリーグができて、自分がプレーヤーになり、サインを書く側になり、写真を撮られる側になって、注目されてメディアに出るなんてことは、決して当たり前のことではないと思います。でも今の若い選手からすると、比較がJリーグなどになってしまうので、そういったことも当たり前に感じてしまうのかもしれないです。
でも僕は、絶対に当たり前のことなんかじゃないと思っています。サインを書く、写真を撮られる、これは決して普通の環境ではないです。技術的な部分もそうなのですが、選手とは自分が見られているという事実に対する自覚が何よりも大切なのではないかなと思います。そこの思いだけは、絶対に持ち続けるべきことだと感じています」